“お茶酔い” とは何か | 茶酔いの原因、方法、対処法

“お酒のように、お茶も酔う“

中国茶を飲んでいると、だんだん気持ち良く、体がふわふわと浮いてるように感じられる…

「お茶酔い」と呼ばれるこの現象は、なぜ起きるのでしょうか。

お茶酔いの原因、感じ方、対策について解説します。

お茶酔いの原因

諸説ありますが、お茶酔いとは、お茶に含まれるカフェインやミネラルによって覚醒する現象のことと言われています。

サウナでいう「ととのう」(サウナトリップ)に近いと形容されることもあります。

お茶酔いという言葉は「上質な酒を飲んだ時と同じような気持ちのいい状態」と、「悪酔いしたときのように体調が悪くなる状態」、2通り意味で使われることがあり、意味は統一されていません。

気分が悪くなるのは「カフェイン酔い」であることが多く、気持ちが良くなるお茶酔いは言わば「ミネラル酔い」です。

 
お茶酔いすると体がふわふわする
 

お茶酔いは紅茶・烏龍茶・プーアル茶など様々なお茶で感じることができます。

特にお茶酔いが感じられやすいのは中国茶、なかでも高温で何煎も入れるウーロン茶(青茶)です。

中国ではウーロン茶は、沸騰したてのお湯で何煎もいれます。

100℃近いアツアツのお茶を2~3時間、6煎も7煎も飲んでいくうちに体は内側からポカポカに温まって血流が促進されます。

茶葉に含まれるビタミン、ミネラル、カフェインも行き渡って覚醒し、体がふわふわしたように感じられます。

お茶酔いの効能

体がふわふわしてくる

ではお茶酔いするとどうなるのか。

まず特徴的なのは、体がふわふわと浮いているような感覚です。

ふと席を立つと体がふわりと浮いているような感じがして、「お、お茶酔いしてきたな」と実感することが多いです。

お茶会をしていると全員お茶酔いしてきて、まるでみんなでお風呂に入っているような妙な一体感が生まれることがよくあります。

お茶は酔っぱらいます。
お酒で酔うと頭がふわふわするけれど、お茶で酔うと両足が床から10センチほど浮く。
頭は冴え冴えとして正気なのに、からだがふわふわ浮遊している。
— 平松洋子(2008)『平松洋子の台所』新潮文庫
 

時間が進む

お茶は速いです。

「日中から気持ちよくお茶酔いしていて、ふと気がづいたらもう深夜だった」なんてことがよくあります。

お茶酔いすると時間の感覚がなくなり、信じられないくらい時間が進みます。

と、いうのも、お茶は長時間かけて飲むからです。

中国茶はコーヒーなどと違って何煎も何煎いれます。

ひとつの茶葉で5〜6煎。1煎が20分だとしても1時間半。茶葉を3つ楽しむとなると4、5時間あっという間に経ってしまう

一日中茶会をするなんてこともざらにできるわけです。

 
お茶酔いすると時間が早く進む感じがします
 
そのうえ、お茶で酔っ払うと時間泥棒にあいます。知らぬ間に。
お酒ならば時間のなかにずぶずぶ重ったるく沈殿してゆくのに、お茶は時間がぴゅーんと疾走していく。
たった小一時間だけ茶飲み話にうつつを抜かしていたと思ったのに、
はっと時計を見ると二時間も三時間もたっていて腰を抜かすはめになる。
それも、いいお茶ほど。さらにいうならば、なぜか中国茶ほど。
— 平松洋子(2008)『平松洋子の台所』新潮文庫

お茶酔いする方法

お茶酔いしやすい茶葉を選ぶ

お茶酔いにはカフェインやタンニン、ミネラルなどが総合的に作用します。

低温で入れる緑茶はカフェインが溶出しづらく、体を冷やす性質があるため、むしろシャキッとしてしまい、お茶酔いもしづらいです。

ウーロン茶や紅茶など酸化度の高いものは比較的お茶酔いしやすいと言われています。

なるべく熱いお湯で入れる

お茶酔いは科学的な成分だけで感じるものではなく、サウナのように体のポテンシャルを引き出す側面もあります。

熱いお茶をじっくりと長時間飲むことで体を内側からゆっくりと温め、凝りをほぐして血流を促します。

茶に含まれる成分も体中に行き渡るようになり、お茶酔いを感じやすくなります。

ウーロン茶や紅茶は100度近い沸騰したてのお湯で入れるため、お茶酔いに適しています。

香りや味の変化に集中する

中国茶は何煎も何煎も飲んでいくうちに徐々に変化する香りと味を楽しみます。

味については甘みや渋み、喉の奥に残るうま味や、後味の変化。

また、香りは主に以下の3回のタイミングで楽しみます。

  • 飲む前の杯中のお茶の香り:揮発性の香り

  • 飲んだ後の鼻に抜ける香り:回香(ホイシャン)、戻り香

  • 飲んだ後の杯に残る残り香:水溶性の香り

香りを嗅ぎ、舌で味わい、それを何煎も繰り返しながら、微細な味や香りの変化に神経を研ぎ澄ませていると自然と感覚が鋭敏になり、なんだか気持ち良くなってきます。

 
お茶の香りに集中するとお茶酔いしやすくなります
 

気分が悪くなるのは「カフェイン酔い」

気分が良くなってふわふわするお茶酔いとは別に、気分が悪くなる “tea sickness” と呼ばれるお茶酔いも存在します。

これは、正確には「カフェイン酔い」のことです。

空腹のまま大量にお茶を飲んだり、濃いお茶を一気に飲んだりした場合によく起きます。

お茶でカフェイン酔い?と思うかもしれませんが、意外と茶葉にはカフェインが多く含まれています。

同量のコーヒーとお茶とではコーヒーの方がカフェインの量が多いですが、乾いた状態での同量の茶葉とコーヒー豆とでは、実は茶葉の方が多くのカフェインを含んでいます。

コーヒー豆 10g からはカップ1杯(約140cc)のコーヒーしか入れられませんが、10gの茶葉からはカップ8杯ほどのお茶が抽出できるためです。

茶会で立て続けにお茶を堪能していると、意外とコーヒーを何杯も飲んでいるのと同じくらいのカフェインを摂取してしまうこともあるので、注意が必要です。

利尿作用も相まって、脱水症状も併発してしまうこともあります。

カフェイン酔いの対策と対処法

カフェイン酔いの対策方法は、かなりお酒に似ています。

空腹状態でお茶を飲まない

空腹状態でお茶をたくさん飲み、カフェインを摂取してしまうと胃を傷つけてしまいます。

茶会の前に食事をすませておいたり、お茶請けをつまみながらゆっくりとお茶を飲むのも良いでしょう。

チェイサーを飲む

お酒同様、お茶にもチェイサーがあります。

カフェイン酔いしやすい方はチェイサー用に茶杯をもうひとつ用意し、お茶を入れるときに白湯を刺し、お茶と同量の白湯を交互に飲むのがおすすめです。

お茶にダイレクトに白湯をつぎ足し、少し薄めるのも良いかもしれません。

カフェイン酔いをしてしまったら

とにかく安静にして、深呼吸しましょう。

白湯を飲んで体内のカフェイン濃度を抑えることも効果的です。

また、ストレッチをして副交感神経を刺激すると吐き気が抑えられます。

症状が良くならない場合は市販薬の服用や、病院の受診をおすすめします。

お茶酔いポッドキャスト

 
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お茶酔いポッドキャストは「お茶酔い」にまつわるあれこれを、お茶酔いしながら語らうポッドキャスト番組です。

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